MJ-Gerüstの設計責任者Jörg Brauhardt氏は、足場用支柱が製造されている壮大な製造施設を指して「すべて自社で製造しています」と語ります。製造ラインはホールの半分以上を占める広さで、原料の切断からバリ取り、マーキング、成形、穴あけ、焼きなましまでを行い、最終的に搬送準備が整った状態で製品を取り出します。個々の工程は、10台を超えるロボットを備えた複数の加工セルで行われます。角柱状のローラーが駆動され、個別のセル内で長尺材料をステーションからステーションへと搬送します。「このシステムは、最大長さ2,500 mmの48-3鋼管製チューブを加工します」とBrauhardt氏。「当社の設計チームは、デスク上でコンセプトを作成するにあたり、同様のタイプの初期システムをモデルとしていました。最初のシステムは最大4mの材料を処理するもので、すでに3交代制で稼働しており、生産量が増え続けていたため、早急にサポートが必要でした。「当社では、すでにPGN-plusグリッパーは設置済みでした」と Brauhardt氏は言います。「既にSCHUNKのモジュールに長い間慣れ親しんでおり、今まで問題が起こったことは一度もありません。このため、新システムにもSCHUNKのモジュールを採用しました。」
約120台のPGN-plus-Pグリッパー、約25台のEGMマグネットグリッパー、数台の旋盤用チャックが稼動中です。「私たちは品質、堅牢性、安定性、耐久性を非常に重視しています」とJörg Brauhardtは語ります。「コンポーネントは長尺でたわみがあるため、グリッパーの繰り返し精度も非常に重要です。全体のプロセスに信頼性の高さが求められるため、システム内のすべてのコンポーネントが厳しい要件を満たしている必要があります」とBrauhardt氏は強調します。建設分野で27年の経験を持つ彼はこのテーマを熟知しており、特定の作業を自動化するために何が必要なのかも良く知っています。「この業界は過酷で厳しいビジネスであり、安全性も重要なため、高品質が求められます。すべてがぴったりとフィットし、機能し、長持ちしなければならないのです。」
金属加工におけるこうした過酷な作業工程では、特に重要です。そのような場合、機械の故障は製造ライン全体の停止を意味します。これは、すべてのステーションが相互に連動しているためです。「そんなことは絶対に起こせません」とJörg Brauhardt氏。投入された材料はクレーンやフォークリフトで束にして運ばれ、まずは切断ステーションに配置されます。最初に、個々のチューブの長さが測定されます。その後、それぞれ複数のPGN-plus-Pグリッパーを備えた2台のロボットが、SCHUNKの3爪チャックROTA TP 200を取り付けたプッシャーへと搬送されます。プッシャーは、チューブごとレーザー切断セル内に移動します。レーザーヘッドが位置決めをしている間、チューブは所定の位置に維持され、左右の端が切断されるまでエンドレスに回転します。切断が完了すると、レーザーセルは回転を停止します。次はバリ取りステーションです。ここからSCHUNKのEGMマグネットグリッパー数台がチューブをピックアップします。「切断ステーションの後チューブはバリ取りされ、最初は2本ずつピックアップされ、3本ずつ束ねられて搬送されます」とBrauhardt氏。「調整済みのハーフシェルを備えたマグネットグリッパーは、チューブをしっかりと密着させて把持します。こうすることで、この時点でのガタつきやカタカタ音を避け、素材を保護することができるのです。」
それぞれのパイプは次の工程(シリアルナンバーと品番のマーキング)のために再び分けられます。各チューブについているマークは、溶接時や保管時にメーカーにとって重要な意味を持ちます。マーキングは亜鉛メッキ後も残り、部品の恒久的な追跡を可能にします。
最後に、パイプの一方の端を冷間成形によって先細りにします。これにより材料が厚くなり、非常に安定したパイプ接続が実現します。ここからは、ロボットが次の最終工程で安全に把持できるよう、基準点に対して再びパイプの寸法を測ります。最終工程とは、レーザーセルに6本1組になったパイプを挿入し、穴を開ける作業です。
60秒ごとに、完成した6本のチューブがラインから出ていきます。SCHUNKのコンポーネントは、あらゆる加工/ハンドリングステーションで大量の作業を確実にこなします。このシステムには、サイズ100と125のPGN-plus-Pユニバーサルグリッパーがも使用されています。市場で最も実績のある多用途な平行開閉グリッパーは、改良されたセレーションガイド、そして永久潤滑によるメンテナンスフリーで信頼性の高い操作性により、驚くほど高い負荷能力を発揮します。「私たちはそれぞれのハンドリング状況に応じて、各プロセスのパイプの形状に合わせてグリッパーフィンガーを特別に調整しました」とJörg Brauhardt氏。「これにより、長い素材のどの部分も確実に把持することができます一度このグリッパーを取り付ければ、あとは任せておけば大丈夫」Brauhardt氏はそう述べます。強力な機能を備えたPGN-plus-Pは、群を抜いた性能を誇ります。
強磁性体ワークでのエネルギー効率の高いハンドリングを実現するEGM永電マグネットグリッパーは、このシステムでそのパワフルさを発揮します。軽量でありながら高い性能を持つため、長いワークも確実にハンドリングします。干渉がないワークへのアクセス性により、狭い公差ながら損傷のないハンドリングが実現します。電気が必要なのは、着磁と脱磁のときだけです。「ROTA TP 200パワー旋盤チャックも、まさにここで必要とされているものです。」と続けます。クランピングシリンダーが統合されているため貫通穴を大きく開けることができ、チューブの機械加工に最適です。このチャックは、静止時にも稼働が可能です。SCHUNKの空圧式パワー旋盤チャックは、手動や油圧でチャックを作動できない場合に適した選択肢です。
その結果に目に見えて満足している様子のBrauhardt氏は「サイクルタイムが最適化された連結式のこのシステムは、将来を見据えて設計されています」と断言しました。グリッピングモジュールとクランピングモジュールは、本来の役割をきちんと果たしています。「まさに最高の品質。ひとつとして壊れるものはありません。」ユーザーとSCHUNKが緊密な協力関係を築き綿密な打ち合わせを重ねることで、最適なソリューションが実現することがここでもまた証明されました。今回も、SCHUNKが自動化に関する幅広い専門知識を駆使して各プロセスに適したコンポーネントを提供できることが、お客様にとって大きなメリットとなりました。確実でスムーズな作業プロセスは、生産性の向上と無駄の排除を可能にします。「このシステムにおけるクランピング技術と自動化の組み合わせは、確かに唯一無二のものだといえます。」Jörg Brauhardt氏はこうまとめます。「これは、本物の『ドイツ機械工学』の良い例です」。