旋盤加工およびフライス加工部品のサプライヤーHarry Roth社は、高強度材料を加工して最高品質の特殊コンポーネントを製造する航空分野に主に注力しています。同社はヴァルトキルヒに拠点を置き、この分野のスペシャリストとして数十年の実績を持っており、その迅速な対応と、小ロットにも対応できる柔軟性が高く評価されています。Harry Roth社の生産管理、計画・コントロール担当であるKlaus Ganter氏は「多くの部品が安全関連部品であることも考慮し、製品の品質は最優先事項です」と説明しています。「それは加工プロセスにおける最大限の安定性と信頼性を確保することです」同時にHarry Roth社は、持続可能性、省資源、収益性、競争力を求める声など、機械加工業界が直面している現在の課題にも対応しなければいけません。熟練作業者不足はここでも問題となっています。「私たちは、製造の自動化とデジタル化の分野に積極的に取り組んでいます。なぜなら、これらの技術を活用することで、より信頼性の高い精密な加工プロセスの設計が可能になるためです」とGanter氏。
SCHUNKはiTENDO²センサー式ツールホルダーで、こうした目標の達成に大きく貢献することができました。ツールの回転軸にあるピエゾ加速度センサーを介してワークの振動を直接記録し、タブレットPC上でリアルタイムに可視化します。「iTENDO²の発売を記念したAMB 2022でのキャンペーンの一環として、SCHUNKはiTENDO²のテストシステムを提供してくれました」と、Harry Roth社の生産監督Anton Bachmann氏は振り返ります。「プロセス改善に積極的に取り組みたいと考えました。そこで、新しいツールホルダーの存在を知ったんです」とBachmann氏。生産担当マネージャーと生産監督は、加工の最適化、品質向上、不良品の回避、コスト削減といったテーマに正面から取り組むべきだという点で意見が一致しました。「これを単なる言葉で終わらせてはいけません。お客様にとっては部品の安全性、そして当社にとっては最終的に競争力に関わる問題だからです」とBachmann氏。Bachmann氏のチームは、iTENDO²テストシステムにより10以上のアプリケーションを特定することができました。これを受けて、このインテリジェント工具を実際の生産現場に導入することがすぐに決定されました
切削や穴あけの際にはツールとワークが相対的に動くため、切削加工のプロセス中に振動が発生します。このようなツールの回転軸上の半径方向の振動 (「ビビり」とも呼ばれます) にはさまざまな形態がありまるが、いずれにしても望ましくはありません。振動はツールを激しく摩耗させ早期破損につながるためです。またこれにより、機械のダウンタイムという望ましくない状況が引き起こされます。振動は、ワークの加工品質にも直接的に悪影響を及ぼします。表面品質が悪いとコンポーネントの寸法精度も劣化し、最悪の場合、不合格品や原材料の無駄遣いにつながります。iTENDO²インテリジェントツールホルダーにより、金属加工業者はこれらの異常な振動を早期に検出し、切削データ、速度、送り速度を適宜調整することにより、振動を低減、あるいは回避さえできるようになりました。
このセンサー式ツールは、「ワークに最も近い」金属の切削位置で振動データを直接記録し、ツール回転軸の平均値からの半径方向の振幅偏差を表す「ビビり指数」としてタブレット上に可視化します。「iTENDO²ツールホルダーは、金属切削のデジタル化を始めるのに理想的なツールです」とAnton Bachmann氏。「使い方はとても簡単です。iTENDO²でシリーズを始める前に最初の試運転を見れば、プロセス内で何が起こっているかはすぐに分かります。」「タブレットで、ツール上で発生している振動の場所と強度を直接確認できます。切削ストラテジーや切削データ、またはその他の加工パラメータを手動で調整することでこれに対応します。振動がどのように変化するかは、直接モニター上で追うことができます。こうすることで、特定のコンポーネントの加工におけるプロセスの最適化を徐々に達成し、その後、可能な限り最適な設定で一連の加工を開始することができます」。
SCHUNKはiTENDO²により、TENDO油圧拡張技術の卓越した特性と、プロセスのデジタルモニタリングおよび最適化機能を1つのツールホルダーに融合させることに成功しました。「iTENDO²を使うことでプロセスの透明性が増し、振動のピークを検出できるようになりました」と、Bachmann氏はスマートツールホルダーがもたらすメリットを説明します。「最初のパスでは、ツールとワークの間に何が起こるかを見ます。対応する切削データの補正はすぐに効果を発揮します」。生産監督である彼は、この新しいアプローチに熱い期待を寄せています。「特定のコンポーネントのプロセスを段階的に改善することに注力します。こうして、理想的なツール挙動で信頼性の高い量産体制に移行することが可能となります」。「SCHUNKが提供するツールパッケージを使用すれば、特別な指導を受けることなく、簡単にこの作業を行うことができます」と言うBachmann氏は、表面平坦度、精度、寸法精度の面でコンポーネントの品質が向上したことを強調します。さらに、主軸の周期的なコンディションモニタリングが可能になったことが、実践的な状態監視において重要な役割を果たしていると述べています。
「私たちのアプリケーションは、CNC部品の品質を最大限に高めることに焦点を当てています。しかしバッチサイズが小さいと、プロセスの監視は難しくなります。それが今では変わりました。 ツールの寿命が大幅に延び、機械が中断されることが減り、夜間の第3シフトを無人で稼動させることができるようになったのです。私たちにとってiTENDO²は、オペレーションの自動化を進めるための重要な構成要素でもあります。全体的にツールコストの削減、原材料消費量の低減、プロセス効率の向上による人員削減も実現しています。iTENDO²を使用するメリットと、SCHUNKとのシンプルで明確な協力関係は、当社の将来にわたる競争力維持にとって重要な要素となっています」とGanter氏。