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テクニカルレポート 2月 2024

AIにより簡便化:難しい部品の自動把持

2D Grasping Kit により、企業は把持・仕分け作業を容易に自動化できます。オフラインのAIサポートとシンプルなユーザーインターフェースにより、セットアップ、ティーチング、操作に熟練者は必要ありません。
用途に関するイメージ – 2D Grasping Kit 2D Grasping Kit は、物体の仕分けや正確な配置といった単調な作業から人間を解放します。

どの製造企業も同じ課題に直面しています。つまり、同じ従業員数で、いかにして費用対効果の高い効率的な生産を維持し、さらには拡大できるかという問題です。人手不足はあらゆる業界で常態化しています。そのため、企業は生産工程の自動化をますます推し進めます。特に、肉体的に負担の大きい作業や単調な作業は、従業員の数は減少する一方です。

幸いなことに、ロボット工学、AI、把持システムの進歩により、自動化ソリューションは新たなコスト効率に優れた応用が進んでいます。以前は、企業はオートメーションシステムの設置や操作に数多くの熟練者を抱えていました。その結果、システムはますます多くの機能を持つようになったものの、運用は難しくなっていきました。今日、これは特に中小企業にとって問題となっています。中小企業にとって人手不足は頭痛の種であり、生産自動化の障害となっています。特に、ロボットによる部品ハンドリングについて、企業は大きな課題に直面しています。部品把持のための正確な位置決め用にカメラシステムが必要な場合、多くの企業は限界にいきあたり、自動化を行うために社外サービスプロバイダーに依存せざるを得なくなります。

用途に関するイメージ – 2D Grasping Kit/EGU AI支援画像処理ソフトウェアは、各部品の位置、回転角度、把持位置をロボットに通知します。

自動化を始める簡単な方法

この問題に対処するために、SCHUNK は、ドイツの SCHUNK が開発した AI により、迅速でコスト効率の高い、わかりやすい自動化を行うアプリケーションキット「2D Grasping-Kit」を発表しました。キットはレンズ付きカメラ、産業用PC、SCHUNK AIソフトウェア、必要なケーブル類で構成されています。すべての部品は互いに連携しており、オープンな TCP/IP インターフェースによって、あらゆるロボットや上位コントローラ(シーメンス PLC など)との組み合わせも可能です。これにより、平面上にランダムに配置されたさまざまな部品のハンドリングとソートが可能になります。自動化は複雑な作業ですが、人間の作業員にとっては単調で面白みの無い作業に対応するソリューションがついに登場したのです。

例えば、受託製造会社で機械から切り出された部品は、たいてい箱に入れられます。その後、従業員が手作業で仕分けし、トレイの正しい位置に入れることで、その後の工程がより簡単に自動化できます。しかしながら、この工程では部品が破損したり、混ざったりしやすいものです。これをロボットにやらせることで、従業員はこれらの作業から解放されるのです。同時に、その後の自動化工程において、複雑さやミスの影響度が軽減されます。

SCHUNK はドイツの自社工場で 2D Grasping Kit を使用しています。お客様は、CoLabロボットアプリケーションセンターで自身のアプリケーションを検証し、このシステムによって自社の生産がどのように改善できるかを簡単に知ることができます。

用途に関するイメージ – 2D Grasping Kit このシステムは、ビニール袋に梱包されたネジのような難しい部品も確実に検出し、取り扱うことが可能です(輪郭が変化するものや反射するもの)。

複雑な作業を簡単に:透明な袋入りの部品の選別

システムが機械的に構成されていれば、平均的なユーザーがシステム(の新しい)部品の計数に必要な時間は半日未満でしょう。このソフトウェアのウェブインターフェースは、ユーザーの段階を一つ一つ、最後まで導きます。

用途 – 2D Grasping Kit ウェブベースのユーザー・インターフェースは、訓練を受けていない従業員であっても指導プロセスを段階的にガイドします。

ステップ1 : コンポーネントの写真を撮る

カメラはベルトコンベア、トレイ、足場台を俯瞰します。AIソフトウェアは、事前に学習させた画像に基づいて部品の違いを認識・区別し、最適な把持位置を出力します。そのために、カメラはまず、部品置き場の背景を撮影します。その後、把持する部品の写真を数枚撮影します。例えば、ロボットのタスクが、注文への対応として透明な梱包材(ビニール袋に入ったネジやナットなど)と一緒に部品を把持することである場合、作業者は、さまざまな位置にある部品の写真を複数枚撮影するだけで十分です。

カメラを使用した自動化システムにおいて、照明はしばしば過小評価されがちな課題です。設置場所によっては、特に、多種多様なパラメータ(サイズ、距離、波長、ビーム角度など)を考慮しなければならない場合は、適切な露光の選択が困難なことがあります。2D Grasping Kit は専用の光源を必要とせず、AI 搭載のソフトウェアによって、従来のビジョンシステムよりも環境光への耐性が大幅に改善しました。このカメラは、太陽の位置による日照の変化といった、さまざまな照明条件に対応できるように設計されており、異なる背景にも適応可能です。表面の色や反射率の影響は最小限です。このシステムは、明るい背景でも金属部品を確実に検出します。

ステップ 2 :物体と把持点の定義

次のステップでは、作業者がすることは、部品に印を付け、名前を付けるだけです。SCHUNK の AI ソフトウェアは、背景から物体の輪郭を自動的に抽出して分離し、視野角、照明条件、その他のパラメータに対する差異を計算します。わずか10枚から20枚の画像だけで、このソフトウェアは検出すべき物体のデータセットを十分に獲得します。

ステップ 3 : AIをトレーニングしてスタートする

最初の2つのステップが完了すると、AIは完全にオフラインで自己学習を行います。データが社内ネットワークから出ることは全く無いため、お客様は常にデータを完全に管理いただけます。トレーニングの所要時間はわずか1~2時間です。これで 2D Grasping Kit の準備は整いました。

今後、AI支援カメラは、形状、サイズ、色などの特徴に基づいて、袋に入っている部品を認識できます。AIは、袋の反射や変形など、起こりうるあらゆる変化を調整・補正します。その後、画像処理ソフトウェアがロボットと通信を行い、認識対象の部品や配置場所、把持システムの開閉度、部品を把持する際の最適な回転角度を指示します。その後、ロボットはグリッパーを部品まで移動させて持ち上げ、あらかじめ定義された場所の適切な位置に配置します。把持と移動の過程で、カメラは同時に次の物体を検出し、その種類と把持点を算出します。これには約2秒かかりますが、ロボットは1つ目の物体を置いた後、すぐに2つ目の物体を把持できます。

このシステムの特徴は、物体の検出のみならず、使用するグリッパーに応じた把持点を自動的に算出することです。さらに、回転角や開口幅といったパラメータをロボット制御システムに転送します。必要であれば、ユーザーは複数の把持点を手動で簡単に保存できます。この例では、2D Grasping Kit は汎用グリッパー EGK と連動します。このキットは将来的に、空圧式やメカトロニック式のパラレルグリッパーや、マグネット式、真空式、粘着式のグリッパーにも対応予定です。

用途に関するイメージ – 2D Grasping Kit 短いティーチングセッションの後、2D Grasping Kit は一人立ちして働きます。

概要

2D Grasping Kit により、多くの企業が簡単に自動化を開始できます。

• 使い勝手の良いウェブインターフェースを採用しているため、訓練を受けていないスタッフでも半日以内に指導を完了できます。

• 難しい部品(柔軟性のあるものや反射率の高いもの)でも、AI を使用することで非常に簡単かつ確実に検出することが可能です。

• SCHUNKのAIソフトウェアは、アプリケーションを可能にするだけでなく、システムの使いやすさとバックグラウンドでの動作がスムーズです。

このソフトウェアにより、多くの生産工程、特に生産機械での単調な仕分け作業や、ロジスティクスとのインターフェース(オーダーピッキング)が、最小限の労力かつ高い信頼性で自動化できるようになりました。